菜々美の人生を深ぼる体験マガジン

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場づくりでの葛藤と成長。より質の高いクリエイトを行うために、社会認知を高め、売り込むセールスが喫緊の課題

個人事業主として、大学院卒業前に起業。『Make camp』で自身が事業を行う実感を得、惣士郎氏との出会いで、新たな事業展開へと舵をきった菜々美。2021年に株式会社awaiを立ち上げ、3年目に突入した。法人化をしてからの心境の変化とこれからの展望や課題を聞いた。

鳴門時代から変わらない土台。人の変化に立ち会える場づくりを行う

“大きな決断をするとか、人の変化が起こる瞬間。そこに立ち会えることが、私の躍動ポイント”

惣士郎氏にブレインを預けたほうが、チームのメンバーやクライアントがエランビタール(生の躍動)に生きられる。二人三脚でという話をもらってからは、惣士郎氏のマネジメント、team88やコミュニティの運営に奔走していった。

菜々美「私自身のベースは鳴門時代からあまり変わっていなくて。それは惣士郎さんと二人三脚でとか、チームでとか、場づくりとか、一緒に動いているうちに、生まれてくるものを大事にするということ。何かを成し遂げたというよりは、やることをやっているうちに新しいものが生まれてきたり、より惹かれるものがでてきたりするということだけです。ただ、学生時代は自分が中心。そこから誰かに、誰かと一緒に、という感じで、広がりが生まれている実感はありますね。
私の根本の話をすると、一緒に関わってくれているメンバーがエランビタールに生きられるということが、私のエランビタールなんです。大きな決断をするとか、人の変化が起こる瞬間。そこに立ち会えることが、私の躍動ポイント。だからこそ、場づくりやリトリートを実施することの楽しさはあると感じています」

視座を高めて、より早く目的地へ。同じ目線で語れるリーダーを増やす

“目の前の一人のメンバーを見ないように努力してきた会社設立からの3年間でした”

そんな想いを持って、コミュニティ運営を中心に事業を展開していった。法人になり、3年目を迎え、自分自身の変化をこう語る。

菜々美「惣士郎さんと共に事業を始めて、法人化をして。ありがたいことに、順調に売上も伸ばすことができています。この数年を振り返ってみると、自分の器の広がりを感じています。自分で言うと軽く聞こえるかもしれませんが、コミュニティを運営する立場として、自然とそうなっていった感覚。全体を考えて、コミュニティの在り方、エランビタールに生きるためにどういう選択をすれば良いのかを考えた結果でした。その一つとして、どこに目付をしているのか。その視座が高まったことがあります」

コミュニティ運営のやりがいを感じると同時に悩みも尽きなかった。法人を設立して、2年目の2022年まで、自分の立ち位置とメンバーとの関わり方の狭間での葛藤があった。

菜々美「コミュニティメンバーそれぞれの感じ方や考え方に違いがあるのは当たり前。もっとこうしてほしいなど、意見や不満をもらうこともありました。なるべくそれらに応えようとしていた時期があったのです。ただ、コミュニティ全体を考えた時に、その個人の意見に対して向き合うことはすべきことなのか。そういった時間よりも、私しかできないことをやるべきなのではないのか、だとしたらわたしがすべきことは何なのか?という葛藤がありました。
コミュニティでも、会社でもですが、それを1単位と考えて、マネージャーとしての視野で、全体のことを描けるかという思想が必要。そう考えた結果、個人(パーソナルに入り込む)よりも全体を見る、という選択を取りました。全体のためには個人の躍動こそが大事。だからこそ、目の前の一人のメンバーのパーソナルな問題や課題を見ないように努力してきた会社設立からの3年間でしたね。そう考えられるようになったのも、つい昨年のことですが……」

相手の感情が理解できることで、全体を導ける。ただ寄り添わない

“私の行動は、私の中で、ロジックが立っていて、説明ができるのです。なので、何かをやりたいと考えている方がやれない気持ちが分からなかったです(笑)”

自身の考えの枠で突き進んできたためか、他人の感情を理解できない場面が多かった。しかし、コミュニティを立ち上げたことで、それが理解できるようになったと自身の変化を語る。

菜々美「私の行動は、私の中で、ロジックが立っていて、説明ができるのです。なので、何かをやりたいと考えている方がやれない気持ちが分からなかったです(笑)。なぜ動かないか分からないから、説得ができないし、その先一緒に活動することができないのです。私が起業しようと言っても、資金がないからできないと言われたとします。私の考えでは、お金をつくればいいというロジックが通っていて、それで解決、となるのです。しかし、その方の本当の悩みはお金ではないんですよね。そこに気づけないから、説得できない。
コミュニティ運営を行っていく中で、多くのメンバーや惣士郎さんなどと関わり、相手の気持ちを理解することはできてきたと感じています。もともと、好きだと思う人を巻き込む力はあると思っているので、気持ちを理解できるようになったことは大きな成長。ただ、それでも、一人ひとりに時間をかけられないので、結果的についてきてくれる方じゃないと一緒に活動できないとは思っています」

相手の感情は理解できるが、寄り添わない。そこまで振り切れるのも、哲学で熟考してきた自信があるから。シンプルな思考だが、周りを気にすることなく我が道を進めるのは、それだけ思考してきた裏付けだろう。

菜々美「始めた事業が、仮に0になっても良いと思っています。それはまたつくれるという自信があるから。哲学をやってきたおかげだと思いますが、理にかなっていれば、絶対思い描いた形になるという確信があるのです」

現状の課題はマーケティング。売って、質を高めるサイクルをつくる

“私がもっと社会に影響を与えられる立場になって、チームを売っていきたい”

持ち前の実行力と培ってきた思考力で規模を拡大。2021年からは、年商1億円の起業家が集まる「億ガールプロジェクト」にも参加している。売上も右肩上がりだが、現状の課題はどう考えているのだろう。

菜々美「社会的な喜びと自分の喜びは異なると思っています。まず、個人的なことで言うと、チームと呼べる人たちと、クリエイションできていることが喜び。相性の良いクリエイターやアーティストなどと一緒に創って、質の良い場づくりをしていくことが理想です。一方社会的には、インフルエンスを与えられているレベルには達したいと考えています。
母数がないと、本当にお互いに相性の良い人と出会える確率は上がりません。だからこそ、現状は多くの人に届けられるマーケティングが必要だと感じています。今は私が売るための活動をしていますが、本来はプロダクトアウトで、本質を求める性質が強くあります。なので、逆に早くマーケットインで、売るということに特化したプロフェッショナルを見つけたいですね」

その先の着地点はどこなのか。本質を求める菜々美の性質で、どのような場づくりがしていきたいのか聞いた。

菜々美「アーティストやクリエイターがアーティスト性を抑えているのが嫌なんです。マーケットに寄せて、仕方なく創造しているのではなく、自分のしたい創作を抑えることなくできている状態にしたい。それは、一緒にできなくても、私がしらないところでアーティストやクリエイターが感化されていれば嬉しいですね。
だからこそ、私がもっと社会に影響を与えられる立場になって、チームを売っていきたい。そうすることで、売って、クオリティの高いものをつくって、売って、さらに……というサイクルが生まれますよね。そうなれば、エランビタールに生きていると言えるのではないでしょうか」


取材後記
制作を行っている私も、自分が創りたいものと職業として創っているものには乖離がある。職業として創る成果物に、自分の色を足すことはアリだと思うが、色で染めることはナシだと思う。そこのバランスを見つつ、本質を見極めて、そのクリエイターだからこその成果物を出せるのがプロフェッショナル。自分も精進せねば……。


プロダクトアウトで、本質が伝わる場づくり。最高だ。ただそのために、マーケットに寄せなければならない葛藤(菜々美さんは葛藤と感じているかは分からないが)。これからどんな進化をしていくのか、目が離せない。

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